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船に浮く力があるのではなく…

ちょっといい話 組織開発 : 2021年12月28日(火)

深江今朝夫著「環境で人が育つ」の中から、オススメのページをご紹介します。
(著者紹介)昭和19年宮崎県で誕生。いいもの真っすぐExcelHumanのEH株式会社を昭和39年大阪府堺市にて創業。平成18年大阪・堺市に約420年ぶりに千利休の「幻の茶室」を復元。紺綬褒章受章。平成27年経済功労賞受賞。(アメリカ・カリフォルニア州ビバリーヒルズ市)2018年に死去。

 昔、あるお殿様のお祝いに、ひとりの家来から「鯛」が一尾贈られたそうです。お殿様は礼儀として当然のごとく、秘書役に「簡単な礼状でいいからありがとうと書いておくように」と指示をしました。

 普通ならそのままありきたりの礼状が書かれるところでしょう。しかしその秘書役は、その鯛を贈った侍が、その日食べるものにも困っているような貧乏な暮らしをしていることを知っていました。

鯛

 「あの家では鯛なんかここ数年食べていないだろう。たいそう大切なお金を使って鯛を届けてくれたのだ」と、ものすごく心のこもったお礼状を書いて出したというお話。それなりのお礼の仕方や礼儀、マナーがしっかりした立派な人たちが自分の家来にいることの大切さがわかります。

 水に浮かぶ船は、船自身に「浮く力」があるのではなく、水に「船を浮かす力」があるそうです。だから、船が偉そうにしていると、水は気分が悪くなって船を揺らす。難破船にするのだって水の力を持ってしたらお茶の子さいさいです。

会社も同じ。従業員がいかに気持ちよく働いてくれるか、いかに情熱を持って働いてくれるかによって、会社自体のパワーが変わってきます。 部下に信頼され尊敬されるには、実行してほしいことを一生懸命表現しなければなりません。直して欲しいことを言う時も同様です。理解してくれたら「ああ、わかってくれたか、ありがとう」と言って手を握ります。俺が船だ、俺が上司だと言って威張っていたらいい組織にはなりません。